労働基準法では時間外労働や休日労働を原則禁止しています。
本来違法である残業を合法にするのがサブロク協定です。
労働基準法36条に「協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」という定めがあります。
この36条に基づく協定を通称「サブロク協定(36協定)」と呼びます。
サブロク協定締結の要件は「労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者と書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出ること」です。
労働基準法には労働者保護の観点から労働時間の条件が定められています。
しかし、労働者の過半数が「労働時間の延長に合意」すれば労働基準法の基準を超える労働をさせることができます。
自分の会社にサブロク協定があるかどうか知らない方も多いと思います。会社と労働組合または労働者の代表者が締結するものなので、入社時にはすでにサブロク協定が存在していて特に説明を受けていないこともあります。
また、社員数が10人以下のところでは経営者も労働基準法をよく知らず、サブロク協定を結んでいないところも多々あります。
サブロク協定がないと残業や休日出勤そのものが違法であり、適正な残業代を支払っていても会社は「6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」という罰則を受けます。
サブロク協定は会社がこの罰則を免れるのための協定なのです。
ただし、サブロク協定があっても以下の場合は残業させることができません。
18歳未満の者
妊産婦で本人の請求がある場合
未就学児の育児または家族の介護を行なう労働者の請求がある場合
サブロク協定は1日以上3ヶ月以内の期間に対して、または1年間の期間に対して締結することが出来ます。
そしてその協定を結ぶ期間に応じて法内労働時間を超えて延長可能な労働時間の上限が変わります。
職業により例外はありますが、一般的には以下の通りです。
1週間 | 15時間 |
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2週間 | 27時間 |
4週間 | 43時間 |
1ヶ月 | 45時間 |
2ヶ月 | 81時間 |
3ヶ月 | 120時間 |
1年 | 360時間 |
もしも、サブロク協定を超える残業が行なわれていたらそれは違法です。
残業代金云々依然に過酷な労働環境ですので、労働基準監督署に申告し労働環境を改善してもらいましょう。
誤解してはいけないのは、サブロク協定は「法内労働時間を超えて残業することを労働者が同意する」協定であって、サービス残業について合意する協定ではありません。
サブロク協定によって残業が合法になり、会社はその残業に対して正当な対価を支払います。
また、サブロク協定のない場合やサブロク協定を超えた残業があった場合、残業は違法であり会社は罰則を受けますが、残業代を支払わなくても良い理由にはなりません。
もちろん残業代請求はサブロク協定の有無にかかわらず可能です。
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