残業代請求には消滅時効があり、請求できる残業代は2年前までのものに限られます。
消滅時効とは「権利の上に眠る者は保護しない」という考えに基づくもので、
「請求できるにも関わらず放っておいた残業代」は2年を経過するともう請求出来なくなります。
ここでポイントになるのが「放っておいた残業代」というところですので、一定のアクションを起こせば時効は中断します。
消滅時効をストップさせる方法としては、以下の3つがあります。
裁判所に労働審判申立書や訴状を提出したときに時効はストップします。
つまり裁判が長引いても訴状の提出日より2年前までの残業代を請求することが出来ます。
裁判外の請求(勧告)では「配達証明付き内容証明郵便」を使うのが一般的です。
残業代請求を行なう場合、最初のプロセスとして「平成○○年○月○日から平成○○年○月○日までの残業代○○円を支払え」という内容証明郵便を送ります。会社が支払いに応じなかった場合でも、この内容証明郵便により「何年何月何日に誰がどこ宛にこういう内容の手紙を送り、何年何月何日に相手方が受け取った」という証拠が残ります。
ただし、裁判外の請求が時効中断の効果を発揮するのは6ヶ月間以内に裁判上の請求をした場合のみですので、内容証明郵便から6ヶ月以内に労働審判や訴えを提起する必要があります。
会社が未払い残業代があることを認めた場合にも中断可能です。②の内容証明郵便による請求だけでは時効中断の効果はありませんが、内容証明を受け取った会社が未払い残業代を認めれば時効の一時停止ができます。
すぐに支払ってもらえる場合には問題ありませんが、
「残業代は認めるが支払いを待って欲しい」と言われた場合には注意が必要です。
口約束では証拠が残らないため、未払い残業代金に関する合意を「合意書」や「覚書き」という書面にして残しておいた方が良いでしょう。
会社が一旦認めた残業代の消滅時効は、一般の債権と同じく10年になると考えられます。
未払いの残業代について何のアクションも起こさなければ、残業代は時効にかかり消えていくばかりです。
在職中に残業代請求に踏み切るのは覚悟のいることです。退職後に請求をする労働者が大半で、長年勤めても最後の2年間の残業代しか請求できないケースが目立ちます。
しかしながら残業代請求訴訟の中には残業代を損害賠償として請求し、損害賠償の消滅時効の3年分までを請求し認められた判例もあります。このように過去の判例を徹底的に洗い出し、可能な限り満額の返還を求めることを考えましょう。
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