労働基準監督署には残業代支払いを命じる強制力はない。

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労働基準監督署の役割

労働基準監督署は労働基準監督機関のひとつで全国に321カ所あります。
国の労働基準監督機関は「憲法第27条第2項に基づき労働条件の最低基準を定める労働基準法や労働安全衛生法等の労働基準関係法令(違反に罰則)の実行を確保する」ことを基本的使命としています。

国の労働監督機関は「厚生労働省」「都道府県労働局」「労働基準監督署」の3つです。
労働基準監督署はその末端の出先機関にあたります。

労働基準監督署の役割は大きく分けて以下の4つ

労働基準監督官が個別事業場に対し監督を行い労働基準関係法令違反を是正指導

労働基準監督官が司法警察員として重大・悪質な労働基準関係法令違反の事案を送検

労働者からの申告の受付

就業規則、「サブロク協定」など労使協定の受理・指導

つまり、労働基準監督署は法律に定める最低労働基準に違反しないように事業主を指導監督するのが仕事です。
労働者からの申告も受け付けていますが、これは違反している会社を密告する意味合いが強く、申告した労働者個人の利益のために動いてくれる訳ではありません。

労働基準監督署の監査官は企業に立ち入り調査することが可能

虫眼鏡

労働基準監督署には「労働基準監査官」がいて、この監査官は企業に立ち入り調査することが出来ます。立ち入り調査は抜き打ちで行なうことも可能です。

帳簿やその他書類の調査はもちろん、従業員に直接話を聞くことも出来ます。
企業に赴くだけでなく、労働基準監督署に呼び出して調査することもあります。

労働基準監督署が調査した結果、労働基準法に違反する事実が発見された場合、労働基準監査官は「是正勧告書」と呼ばれる書面にその指導内容を書いて交付します。この是正勧告書には違反項目と是正期日が記されていて、指定された期日までに違反を正して労働基準監督署に報告することになります。

しかし、この是正勧告には強制力はありません。改善するかどうかは会社次第です。
ただし、労働基準監査員は「特別司法警察員」としての一面もあるため、是正勧告に対して不誠実な対応を取るなど悪質な企業に対しては刑事罰を与える権限があります。

近年の労働基準監督署の実績の中で残業代に関係するものは以下の通り

サービス残業の是正、賃金不払の申告の解決是正企業数15,588件、対象労働者数206,260人、支払金額約257億円(平成20年度)

「名ばかり管理職」に対しての残業代支払い、店長等が管理監督者とされていた371企業のうち、全部又は一部が管理監督者と認められず指導した企業369。159企業(店舗数としては約11,800店舗)が既に見直しを行い、その他は見直し作業中。

管理監督者と認められなかった者に対する賃金(割増賃金)の是正金額約29億円。

労働基準監督署は確かな実績を挙げています。
労働基準監督署に申告すれば、労働者個人では見つけられなかった不払い残業代の証拠を見つけてくれるかもしれません。

しかし、一点注意しなければならないのは、労働基準監督署は法律に違反する企業を正すのが使命です。
指導に従わない場合には雇用主を禁固や罰金に処することはできますが、労働者への支払いを強制執行する権限はありません。

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労働基準監督署は最低労働基準に違反しないように事業主を指導監督するのが仕事です。しかしその指導に強制力はありません。

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